ソチミルコ湖はもう存在しない

  1. date :2010.01.27
  2. writer :syogun
  3. pv :09317
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ウーパールーパーファンの方は耳にした名前だと思います、
遠いメキシコの湖の名前、ウパの原産にして
そして、現在となっては唯一の生息湖です。

資料やサイトにも原産・生息地として名前が書かれてますが、
実際にはソチミル湖はその姿を消してしまっておりました。

かつてのメキシコ盆地は水郷とも呼ばれるほど
豊富で美しい水を湛えた地域でしたが、
今では見る影もなくウーパールーパーにとっても
とても住みにくい場所になりました。

現在「ソチミルコ」というのは地名に残ります。
人工の密集するメキシコシティーの郊外地の一つとして、
かつての湖の一端を見ることができる希少な地域です。

ソチミルコ周辺には水路や運河が多く、
ここが唯一、かつてのソチミルコ湖の名残、
ウーパールーパーはこの狭い水路にのみ生息しています。


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もともと高い山脈に囲まれたメキシコ盆地は
北部が塩水湖で南部が淡水湖であることから、
陸地の隆起から湖ができて海が切り取られた塩水湖と
周囲の山々から流れる水で構成される淡水。
気の遠くなる歴史の中で作られた豊かな湖群でした。

この地域で歴史を築き栄えたアステカ文明は
湖上(テスココ湖)に築かれた美しい水上の都市で、
アホロートルの語源となる言葉も生み出したり、
ウパを死と再生の神になぞって、共存してきました。

もし近年の急激な開発であれば
生物(特に固有生物)に対しての配慮もあるとは思うのですが、
この湖の埋め立てと開発が始まったのは400年以上も前、

スペインのメキシコ征服によって都市は破壊されて以来、
雄大な湖は水を抜かれ埋め立てられていきました。

テスココ湖を埋め立ててできたのがメキシコシティー、
今では都市圏の人口が世界2位となるほどの大都市です。

その人口増加の中で食糧の確保のために
湖を削り耕作面積を確保し湖の水をひいて農業を行いました。
爆発的にに増えた人口の飲料水をしても使われていき、
住宅地と資材のため伐採されていった森林と舗装のせいで
1950年には湧水源が枯渇するにいたりました。

そして1980年代にメキシコシティを中心とする開発は
ウパ唯一の生息地ソチミルコ湖の名残の僅かに残った水路にも
多くの農業排水・生活排水を流し始めました。

周囲の山々が4000m級と高いことで排気ガスが拡散せず、
人工過多から生活汚水なども多く排出されるので
大気・水環境とも公害問題はかなり深刻な状態です。

(左がかつての湖位置、右が現在)

僅かな水路と小さな湖が比較的残るのがソチミルコ周辺の地域ですが、
僅かな水源でさえも生物だけが使えるわけではありません。

チナンパと呼ばれるアステカ帝国の伝統農業(浮き畑)も残ります、
これはかつての水郷の名残でもある農法で、
水草を積み重ねて雨季島を作り、その上に泥を盛り上げて畑を作ります。

ただでさえ少なくなった水面に湖底の泥を掘り出して盛るので
水棲生物に少なからず影響を与えると考えられています。

ただこの農法自体もアステカ文明の名残であり、
文化的価値の高い方法のため無くすわけにはいかないのも事実、
とても難しい問題です..

しかもその僅かな生息地に外来種が入り込んでしまっています。
食用目的に導入されたティラピアやハクレンがウーパールーパーの卵を食べ、
また餌となる生物を食べてしまうためその影響はかなりのモノです。

更には、水路の数か所にサンクチュアリを作ったり
農薬汚染の元となっている農場閉鎖などの保護プロジェクトすらも
近隣住民から強硬な反対を受けている状態。

1998年には1マイル四方に約1500匹いたものが
10年後の2008年には25匹までに減少しているそうです。
その数なんと60分の1という恐ろしい減少です。

この恐ろしい減少スピードだと計算上では
今年2010年には姿を消す計算になります。

以前も紹介させていただきましたが
現地のウーパールーパーの状況を紹介してくれている
ブログさんやサイトさんがいらっしゃいます。

Chinampa散策とAjolote
http://mexicana.blog45.fc2.com/?q=Ajolote

これはAjoloteと言う絶滅の危機にある両生類で、
なんとここXochimilcoにしか棲息していない、
といわれています。

※メキシコでは「Ajolote」と呼ばれています

絶滅の危機にあるのは乱獲よりも水質汚染にあるというのが
実際にXochimilco に行けばよくわかります。

水質汚染が相当ひどいものだそうです。
ウパではない他のブログでは
「大きなドブかと思ったら湖だったらしい」とありました。

Ajoloteもお出迎え。

リンク先を見ていただけると分かるのですが
座れるくらいの木彫りのウーパールーパーも。
文化的にも生活に密接した関係だった事がわかります。

メキシコのサンショウオウオは絶滅しつつある!
http://blog.livedoor.jp/tiamexico/archives/52199738.html#comments

昔々はメキシコ盆地の湖にいっぱいあったが、その湖もなくなり、
そのわずかな名残がソチミルコなわけであるが、
そのソチミルコの動物達も、色んな条件の変化で、
生き残れないで絶滅しつつあるものもある訳だ。

この湖地帯だけではないがメキシコ全体で
絶滅を危惧されている両生類は33種、
ウーパールーパー(メキシコサラマンダー)以外にも
多くの両生類が危険な状態です。。

クエマンコのエコロジー公園の鳥たち
http://blog.livedoor.jp/tiamexico/archives/2007-07.html?p=2

クエマンコでの鳥の紹介記事でも補足的に紹介、
生態系の一つとして自然界に生きていられたのも遠い昔。
公園内の博物館にももういないのだそう。。

「生息地にはソチミルコ以外にチャルコ湖もある」
見かける多くの資料ではそうなっていますが、
既に1970年代に洪水対策から完全に埋め立てられ、
かつてチャルコ湖があった地域には既に水路すらありません。

祖先の故郷も失われてしまい、
日本はじめ他国にとっては外来種、
もちろん自然環境に入ることはできません。

彼らの生息地が水槽以外にもありますよう
現地の方にどうにか頑張って保護していただきたい。

近年では大統領の公約にもソチミルの水質改善が盛り込まれるが
広大な農耕地域を背景に農家に規制を強いる水質改善よりも
農業利用のための水質・水路改善という面が大きいだろう。
水路を利用した外来種養殖を生活基盤にする有権者も多い。

例え保護飼育をして守ったとしても
今を生きる私たちのこの世代で
野生で生息してきたウパは絶滅することになる。

生きものにとって住みにくい場所は
きっと人間にとっても住みにくい。

私達の文明はそのことを理解できないでいる、
400年前のアステカより劣化した文明かもしれない。


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