塩水浴の仕組みと方法

飼育水を薄い塩水にすることで
怪我や病気などの症状が好転することがあります。

塩浴（えんよく）、塩水浴（えんすいよく）と呼ばれるもので、
「海の魚じゃあるまいし」と思う方もいるとは思いますが
少なからず効果のある方法なのですが、奇跡の水ではありません。

微生物の多くは浸透圧の調整能力が低い生物が多く、
体外の塩分濃度によって体内の水分を奪われてしまい
場合によっては脱水症状をおこしたり繁殖を抑えるケースがあります。
ナメクジが塩をかけられると死ぬのと同じ理由です。

ウーパールーパーに危害を与える原因の一つには
こういった微生物が影響している場合が多いため
塩水浴によって症状が改善するケースがあります。

ウーパールーパーなどの両生類は
生理食塩水の塩分濃度は0.65％です。
そのため理論上は0.65％までの濃度の塩水であれば
ウーパールーパーは耐性を持つことになります。
（私は0.55％までしか濃度を高めたことがありません）

つまり症状の原因となっている微生物が
0.65％以下の濃度で効果のあるものでないと
塩浴が全くもって無駄な行為になってしまうことを
理解しておかなくてはいけません。

ほかには、ウーパールーパーが水分を補給する際につかう
浸透圧調整を補助する事も理論上は可能です。
人間がポカリスエットを飲んで水分補給をするように
生理食塩水レベルに近ければ体内に取り込みやすくなります。
（ポカリって味を思い出すとしょっぱい感じもしますよね＾＾）
新陳代謝を助ける（あくまで補助的な意味で）ことが可能です。

ちょっと話がそれますが人間がただの塩水（生理食塩水）より
ポカリの方が水分補給の能力が高いのは
塩以外にほんの微量にいくつかの成分が入っているためです。

ポカリのCMでもイオンがどうこう言ってます、いわば電解質です。
そこまで考慮して配合されるとしたら「リンゲル液」で調べてみてください。
大量出血を伴う怪我や、各種療養にかなり効果があります。

話を戻して、塩浴は傷を負った際には一時的な消毒殺菌としても使えます。
正確には毒を消したり、菌を殺す効果があるというより
衰退させたり進行を抑えるために、治療までの一時的な処置です。

薬液の多くにもナトリウムが含まれるのもそのためです。
（※塩分濃度が高まるため塩水に薬液を入れないでください）
ただし塩浴だけで傷が完治することはありません。

塩水浴という方法を取られる場合には
病原となる細菌類をせん滅させ完治するためではなく、
原因を探るまで一時的に衰退させ抑制させる、もしくは
ウーパールーパーのもつ自己治癒能力に期待する際に使うもの
とお考えいただいた方が適切なのかなーと思います。