餌を見つけるもう一つの器官
- date :2011.12.23
- writer :syogun
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水槽に近づくと「お、餌をくれる奴がきたぞ」と反応するウパ、
底に落ちている餌をクンクンと嗅ぎまわって探すウパ。
実は視覚や嗅覚の他に私たちには無い器官も活躍しています。
視覚器、嗅覚器、聴覚器、味覚器、平衡感覚器、皮膚感覚器…、
このあたりが脊椎動物なら大抵持ってる感覚器官ですが、
水中で過ごす生き物、特に魚類は「側線器」というものを持っています。
その名の通り体の側面にある感覚器官で、
主に水流の流れを感知するとても大切な器官。
両生類でもオタマジャクシのように水で生活する時にはきちんと備えていて
カエルに変態する時に失ってしまいますが、
変態の無いウーパールーパーはその側線器を失わず持ち続けます。
しかもウーパールーパーの持つ側線器の一部は、
魚の中でも特定の魚しか持っていない特殊なものでして、
その魚というのが系統発達からみて“原始的”とされる種類。
たまにウーパールーパーが「原始性を持つ生き物」として
扱われる事がありますがこの特殊な器官も理由のひとつだったりします。
どう特殊かというのをざっくり言うと
外界の電場の変化を感じ取ることができる点です。
神経系統的には側線器と同じなのにすごいですよね..
この受容体は「電気受容体」と呼ばれています。
他にこの電気受容体をもつ生き物は進化的に古い
サメやエイ、ハイギョなどの一部の生き物しか持たず、
マグロやイワシの側線器では感じる事ができません。。
電気受容体には大きな「感丘」と小さい「孔器」があり、
感丘の電気を受容する有毛細胞は孔器の倍近く。
そんな感丘はほぼウパの頭に集中していて、
目の周りと上下の顎の付近に密に分布。
弱めの孔器は感丘の周りをフォローしつつ、
尾にかけての側面にツラツラっと並んでいます。
この分布からも分かるのですが、
ウパがこの電気受容体を活躍させるのはズバリ餌探し。
底床環境の中にいる水中昆虫などの生き物から出る
微弱な電場の変化を察知して鼻先でほじくり返します。
ただし電場の変化だけですぐに「餌だ!」とはなりにくく
「ん、何だこの餌の匂いは…、くそっどこだ!」の時に、
「よーし、ウパセンサー発動!」というイメージが近いかも。
この電気受容体を持つ魚の一部では、
電気受容体を使ってコミュニケーションをとっている。
…とも言われているそうなので、
もしかしたらウパもこの器官をつかって
水槽の隅でウパ同士コソコソ話をしてるかもです^^
参考文献:生物 遺伝 49巻4号 アホロートルの感覚神経系 長井孝紀(1995)