溶存酸素量とウーパールーパー
- date :2009.07.01
- writer :syogun
- pv :23215
- HOME
- ウーパールーパーと水環境
- 溶存酸素量とウーパールーパー
ウーパールーパーの水環境で知っておきたいものの一つに
「溶存酸素量」というものがあります。
水質を維持する上でとても重要な要素ですのでお見知りおきを!
溶存酸素とはその名の通り、
水中に溶けて存在している酸素のことを言います。
「水に酸素が溶けてるからって何?」とお思いでしょうが、
ウーパールーパーはその特徴でもあるエラから呼吸してますので、
エラ呼吸がしにくい環境というのはウーパールーパーにとって
どう考えてもいい環境とは言えません。
さらに水槽に溶存酸素が無い状態になると
ウーパールーパー以外の生物にも影響を与えます。
それは混泳だけに限らずろ過バクテリアにも影響を与え、
酸素をとりいれられない状態では減少します。
ヘドロなどと呼ばれる堆積物は
溶存酸素がほとんどなくなった状態の水が原因で
大量のバクテリアが発生し呼吸することで
水中の溶存酸素が極端に減少して生き物が生きられなくなります。
水中の酸素濃度が命を殺す、いわゆる「死の水」となります。
溶存酸素量を高めるには
ではどうやって溶存酸素量を高めるか、
「エアレーションをすればOK」と思う方も多いはず。
しかしそれはちょっと違うのです。
エアレーションはご存知の通り(見ての通り^^)
水中から空気を放出して気泡が上昇し水面ではじけます。
気泡が消えて水面に到達しなければ溶け込んでる証拠ですが
もれなく水面まで昇りはじけます。
では、エアレーションは全く効果が無いのか?
それも違います。
溶存酸素の多くは水面から取りこまれるため
水面の広い状態でいることが手っ取り早い解決策ですが
水槽の多くは水面はすでに最大となっています。
エアレーションをすると先ほども言ったように気泡が上がり、
その浮揚力によって水が循環して水面に動きが発生します。
酸素を取り込んだ水面の水が循環して
酸素量の少ない水が水面に現れて酸素を溶け込ませます。
そして気泡の力でさらに循環していきます。
海の波や川の流れ同様に「水を動かす」ことが必要で、
水槽のように水を貯めているだけでは水流は起こりません。
エアレーションは水を動かすことができる要素なので
溶存酸素量を増やす働きがあるのです。
つまり、エアレーションをしても
気泡の浮揚力が水槽に全く影響しない方法だった場合、
溶存酸素にはほとんど効果が無い事になります。
溶存酸素を減らす要素
それともうひとつ、溶存酸素を減らす要素として
水温が密接に関係してきます。
高温になると酸素を溶け込ませる能力は落ちます。
やかんでお湯を沸かすと煮えたぎるブクブク、ありますよね、
あれは水中に溶け込んだ酸素が水温の上昇に伴って溶け込めなくなり
水の中からどんどん出ていっている状態です。
あそこまで高温にならなくても
水温が上昇することで溶存酸素量は減ります。
エアレーションは溶存酸素を増やすことより
水温調整やろ過として使われるものでありますが
その水温調整(上昇を抑える効果)で溶存酸素を維持します。
つまりエアレーションから出る気泡は溶存酸素にならないけど、
この2つの効果で溶存酸素を増やす働きがあるのです。
- 水流を発生させる
- 水温を調整する
そのほかに溶存酸素に影響があるものでは
水槽用のフィルターがあります。
ポンプを使っても密閉された外部フィルターでは
フィルター内に水流があっても酸素を取り込めませんが
吐出口で水面を揺らしたりディフューザーを使って
エアレーション経由の効果を期待する事はできます。
上部フィルターはフィルター層で水面の領域を増やし、
更に上部から水が落ちることで水流を作ることも可能です。
底面フィルターはエアレーションタイプであれば
フィルターはおいといてエアレーションと同様の効果、
水中モーターなどのタイプでは水流は作れますが
溶存酸素にはほとんど効果は見込めません。。
溶存酸素計は必要か?
ちなみに溶存酸素計というものがあります。
"水に溶けた空気"なんてのは見て分かるものではないのですが、
溶存酸素量測定のためだけにこんなものを用意するよりも
ちょっと気づかいしてあげればいいことだと思います。
溶存酸素は悪影響があるほど取り込めるものでは無いので
継続的に増やす対策を、いくつか併用してみるのもいいかもしれません。