ウーパールーパーの再生に甘えない
- date :2010.06.04
- writer :syogun
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ウパの特徴でもある強い再生能力のせいで
若干乱暴な扱いをされていると思う事があります。
再生を前提とした飼い方は単に生かしているだけで
「飼っている」のとは違うものだと思っています。
「最悪腕が生えてこなくてもいいので、もう少し長生きしてほしいものです。」
と、私の尊敬して止まないウパ飼いさんが仰っていて、
ウーパールーパーとの距離感がとても素敵で感銘を受けた言葉です。
再生よりも大切なものをとても自然体で表わしていて
かといって過保護とは違う適切な言葉だと思います。
再生する能力の高い生き物はヒトデやプラナリアなど結構いまして、
他の両生類や魚でも多少のケガなら治癒の延長としてなのか
思いのほか再生してくれるケースもあります。
中でもウーパールーパーは脳の一部が再生するほどの強い再生能力を持ち、
生物の実験でも「再生」の入門として教材となる事もある生き物です。
「多少の欠損がありますがすぐ再生します」
と書いて販売されてるショップさんは、
仕入前に既に欠損がある場合や限られた店舗スペースもあるので
慢性的に共食いをさせていなければ強く責めることはしません。
ただ仕入の弱さや維持能力の低さを想像してしまいますし、
欠損が当たり前という認識なら誤解をしたまま取り扱っており、
そのような店からウパを買いたいなーとはあまり思いません。
この写真はとあるショップで見かけたアルビノのウパです。
(この黄色い色は水槽全体を薬浴しています。)
手の再生は済んでいましたが口に白いカビのようなものが生え、
その奥の口に裂傷のようなものが薄らと見えます。
同じ水槽に他のウパはどれも表皮が激しく炎症していました。
ショップによってはダメージのある状態でも引き取り
売り物にならないのに店舗のスペースを使って治療をするケースもあります、
値段を付けずに治療していたらむしろ優良店かもしれません。
ケガしたウーパールーパーがいるからと即駄目のレッテルはNGです^^;
ちなみにこの写真のウパはこの状態でも値札がついていました。
また、再生された形が短かったなどで気にいらなかったり、
外鰓の再生が遅いという理由でわざと手足を切り取るなど、
耳を塞ぎたくなるような事例を伺うことがあります。
ウパはあまり大きな脳を持っていない生き物なので
もしかしたら痛みの感覚に強いのかもしれません…
歳をとるにつれて再生能力が弱まるので、
まだ再生能力のあるうちに再生を促すのは
若いうちにする矯正歯科に似て効果があるのかもしれません…
ただ、私には共食いされて当然の環境で飼ったり、
再生しようとしている彼らの体にハサミを入れる事は
どうしてもできません。
切り口を作る際に感染症になる可能性もあり、
再生することで不要な体力を使わせてしまい、
何より切られる痛みを味あわせる事になります。
正常な稼働域を保持した四股を保ち、
美しい姿でいることが彼らにとって幸せなのかもしれません、
「こんな形ならまた再生するから切ってくれよ」と
もしかしたらウパ自身が思っているかもしれませんが、
やっぱり私は切りたくありません。
間違えていただきたくないのは、
共食いの欠損を恐れて「単体で飼って!」などを言うわけでも、
ウパを愛しているなら好き勝手させてあげて!というのも違います。
ましてや欠損を起こしてしまった事を責めるものでもありません。
実際に私もウパに何度も欠損を経験させてしまっている駄目飼い主です。
ですが、ウパの欠損を「どうせ再生をするから問題ない」というのを聞くと
欠損させた責任を転嫁するどころか、
再生してくれる能力に甘えて、悪くないものにしまっているように感じ
なんだかもう、やりきれなくなるのです。。
このブラックは四股欠損が再生し終わる頃うちに来ました、
左前足が捻れて再生していて脇にぴったりくっついていますが、
器用に歩き、泳ぎ、浮く(笑)元気なムードメーカーです。
1枚目の手足欠損した状態でうちに来たゴールデンはきれいに再生し、
去年とても力強く再生した足を踏ん張り産卵してくれました^^
このブラックは幼い頃に尻尾を大きく欠損させてしまい成長が阻害されました、
時間をかけて再生をしたものの全体的に短いままで本来の形とは違います。
再生は飼ってる人間にもウパ本人にも思い通りに戻るわけではありません、
再生するしない、したならどんな形に再生したかも含めて見守ってください。
飼い主ができるのは欠損の原因をきちんと探して改善を図り、
怪我をしたウパが早く治るように見守る事ぐらいだと思います。