ミューテーションの発生頻度
- date :2012.05.23
- writer :syogun
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ウーパールーパーの繁殖された事のある方の中には、
水槽の宝石(と私が勝手に異名を付けた)ミューテーションを狙い
繁殖をされている方もいるのではないでしょうか。
写真左:ゴールデンとアルビノのミューテーション
写真中央:リューシスティックとマーブルのミューテーション
写真右:黒目(金環)のゴールデン or 黄色以外が発色しないマーブル
突発的な発生は度々見かける事がありますが、
どのウパも本来の色パターンとは異なっており
ひとたびオークションなどに出回ると青天井の競り合いになります。
というのも、ミューテーションは「突然変異」という意味、
特に2つの異なる遺伝情報を持つタイプに至っては
色などを固定するという概念とはかけ離れた所にいるので
同じ色の子供が生まれることは無いに等しく。
ブリーダーさんも一定の産出ができるまで手放さないのが常識、
更にその特異な体質から飼育が難しいとも言われているため
流通にも乗るのはとても珍しいため一度出回ると高値になってしまうのです。
今回はこのミューテーションを狙い、
わずか数年でかなりの匹数を発生させている。
そんなブリーダーの方からお話をお伺いすることが出来ました。
..前置き長くてすみません。
今回お話をお伺いした方はブリーディングは本職では無いとの事ですが、
思わず二度聞きしてしまうレベルの高い環境で飼育されています。
産出が相当大変なのにもかかわらず、
惜しげもなく欲しいという方にひょいと数匹売ってしまっており..
そんなスタンスに思わず好感を持ってしまいますw
さて本題の発生頻度です。
前年は 0/12000 という結果で、この中には
ミューテーション同士の卵350個も含まれていたとの事、
以前からミューテーション同士であっても発生の確率は同様と言われていて
少なくともこの350個の卵では 0/350 も実証したことになります。
私も僭越ながら10000まではいかないにしても
ここ数年、2000~8000程度の繁殖をしていますが
ミューテーションを発生させた事はありません。
(卵の時点でお譲りしているのもかなりありますが..)
話を戻しその翌年は 21/30000 という結果に。
更にうち20匹は同じ卵塊からの発生で 20/850 との事。
これは実に43個の卵で1つの割合になります。
ここで気になるのはその 20/850 の卵の親。
こちらは雌3匹分との事で、どの個体も一般的な発色ながら、
濃いゴールデンA(約50個)、濃いゴールデンB(約400個)は
ミューテーション同士の両親から生まれた姉妹。
に加え、リューシスティックが約400個を時近く産卵しており、
これに合わせておよそ850個の卵塊が1/43となったとのこと。
もちろんリューシの卵から発生した可能性もあり
隔世遺伝を実証するものではないけれども、
今回のケースではそこに理由をもっていくと
異様に高いミューテ発生の高確率も腑に落ちます。
ミューテーションにおいてキーとなったのは
「発色は通常で珍しくないが遺伝的に隠し持つ親」の存在。
今後はこのミューテーションの兄弟にあたる普通の色のウパを個別飼育し、
継続的な観測を続けていかれるとの事なので続報が楽しみ^^
もちろんそれらの実証に至るにはまだまだ先ですし
他で聞く話にはF2世代まで固定化させている方の話も耳にしています。
どれも流通に乗るほど増えるのはまだまだ先になるけども
もっと個性的なウパが水槽を彩る日も近いかもと楽しくなります^^
と、実に夢のある話ですが、
ココからが超重要ポイントです!
今回お話を伺ったブリーダーさんはミューテでなくとも
分け隔てなくきちんと大切に飼育していて、
飼育環境も広く準備していて、なんと専用の空調も準備しています。
もちろん欠損などの不慮な事故も防ぐ万全の体制で、
ウパを通じての社会貢献もしていたりする。
(このあたりはあまり言わないでと言われているので言えません..)
既に言いたいことは察していただけると思いますが
飼えるキャパや面倒を見きれる気構えがなければ
ブリーディングは手を出すものではありません。
ウパは生まれたては小さくてもいつか成体になりますし、
近年では流通価格が安いので思うほど引き取り手はいません。
夢のある話だけに、そのあたりもきちんと
心置きいただけると嬉しいです^^