ウーパールーパーの夏対策
- date :2010.05.07
- writer :syogun
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ウーパールーパーにとっての鬼門は「夏」、
涼しい環境で生まれたウーパールーパーにとって
日本の酷暑をのんきに越えるのは至難の業。
ゴールデンウィークも終わり、夏を感じさせる日々が続きます。
ウパリストさんたちはこの時期の温度変化に敏感で、
ネット上でもブログさんやtwitterでも
高水温アラートを鳴らしてくれてるのをよくお見受けします。
中には「夏なんて大丈夫だぜ!」という方もいます、
1つは水温をコントロールできる術を既に持ち、
水温管理のもっと難しい生き物を飼育している人。
もう一方はたまたま乗り越えられた人です。
ここではそのどちらにもなれない方向けに
幾つかある夏対策をご紹介します。
(水温の高い時と低い時を記録できる水温計は使えます!)
高水温が引き起こす環境変化
文字通り水温が高くなる事で起こる問題は
水温を下げるだけでは解決しないのが対策を難しくさせています。
水冷だけで満足せずに各種チェックが効果的です。
まず食欲が落ちたり浮いてしまうなどの内臓機能の減退は
水温が上がることによる直接的な症状なので分りやすいですが、
一見分りにくい、溶残酸素量の低下やそれに伴う
ろ過バクテリアの活動抑制も引き起こします。
水槽外から入る事になる換水用の水道水も
細菌の繁殖しやすい夏にかけては塩素量も増えるため
塩素除去にも冬と全く同じでは対策不足かもしれません。
ご利用中の水道局でも塩素量を確認できますが
(東京都水道局の場合は「水源水質検査結果」)
コントラコロラインなどの塩素除去剤や、
汲み置きをした水などの状態で、
きちんと塩素が抜けているかをチェックしてみてください。
水槽の水温を下げる
水槽内の温度を下げることをきちんとできれば
水温以外の環境変化もかなり抑えられます。
ただ水槽というのはかなりの水量を湛えていますので
外気温より下げるのは思った以上に難しいです。
3つの直接的な方法が代表的です。
・水槽用のクーラー
・水槽用の冷却ファン
・部屋ごとクーラー
(クーラーには冷却タイプと熱交換タイプがあります)
保冷庫に水槽ごと入れる方法もありますが
こちらは「部屋ごとクーラー」とある意味同じですね^^
それと、直接的ではない方法ですが
水槽に保温機能を持つ保冷カバーを巻いて、
水温変化をゆっくりにさせる方法は
上記の直接的な方法との組み合わせが効果的です。
このほか水槽周りで熱源となるのが水槽用の照明です、
単純に照射時間を減らしたり、リフトアップしたり
熱量の少ないLEDに切り替えるなども対策のひとつ。
他に水槽周辺に熱を発生させるものがあれば離したり、
水槽自体の場所を夏の間だけ一時的に
移動させるなどをしてもいいかもしれません。
地下水などの冷たい水はかけ流しや
水冷用に使えるならば効果的ですが、
単純に換水用に使うと水温差がウパに負担になるのでご注意を。
他にも水冷に気を取られ過ぎて余計なストレスを
与えてしまうのは本末転倒ですのでお控えください。
また、冷却については種類や組み合わせなど多岐にわたるので
こちらの詳細は別途改めますね^^
激減する溶残酸素量
水に溶ける酸素の量は水温によって変化します。
水を沸騰した際にブクブクと出る気泡は、
水の中に溶けている物質が高熱で気化したものです。
水には目には見えない酸素が溶けていて、
沸騰までしなくても水温が上がる事で
水が酸素を取り込んでおくことができなくなります。
外鰓からそれを取り込み呼吸するウーパールーパーは
この水中内の酸素が無いと鰓呼吸ができなくなり、
水面まで空気を吸いにいく必要がでてきます。
水槽を快適に守ってくれる好気性バクテリアも
「好気性」とあるだけあって
こちらも水中に溶けた酸素を必要とします。
wikiに飽和溶存酸素量という表があります。
(「飽和」とはそれ以上溶け込めない上限のことです)
こちらは蒸留水による数値なので
このまま水槽に持ち込むことはできませんが
真冬と真夏では倍近く溶け込むキャパが違います。
いつも飽和値ギリギリの状態まで
酸素が溶けているわけではないので
継続的に飽和酸素量を高められるよう
エアレーションを忘れずに行ってください。
汲み置き水は一時的に外気温で置かれるため
注水時に水温差だけを整えても酸素量は増えていません。
そういった水の場合は大量の換水は
控えるようにした方が得策でしょう。
ろ過バクテリアへの影響
水槽内で共存する生物として考えると、
アンモニアを無害化してくれるろ過バクテリアも
高水温で酸素不足になりがちな環境では
繁殖も働きも抑制されてしまいます。
水温の高まりを抑え、酸素を供給すれば
ウーパールーパー同様にろ過バクテリアも安定しますが、
ウーパールーパーとは異なって目に見えません。
寒い時期よりも水質の変化に敏感に、
気温が一気に高まった際や、臭いが出たときなどには
アンモニアや亜硝酸値などをチェックすることで
バクテリアの状態を確認してあげてください。
改善が必要だとしても一気に行うのは負担になります、
焦らず時間をかけて行ってください。
もし壊滅的な状態になってしまったら
急場しのぎにはなりますが活性炭などに頼るのもアリです。
ろ過バクテリアの減退と水温の高まり、
それに光が加わるとコケの発生しやすい状態にもなります。
ウパはコケ対策の生体との混泳には向かないため、
一度発生してしまうとこまめなスクレイピングや
リン酸塩とケイ酸塩を吸着除去する水質維持剤など大変です。
コケはこまめな換水を行う予防策が
結局は水槽内へのダメージも無い一番楽な方法なのかもしれません。
クーラーの起動水温に対しての反応や水冷速度、
ファン利用時の気化の早さなどを夏前に確認しておかないと
急な停止や思った以上の反応に焦ること多いので、
夏の高水温は梅雨に入るあたりまでに準備しておき、
水温が上昇する前に稼動テストをしておくことをお勧めします^^